高い空に向かって背伸びをする花は、今日の空に一番似合っている。
その花びらからは、お日様の匂いがしてきそうだ。
塀の隙間から顔を覗かせている水仙は、その香りがここまで届きそうな
くらい鮮やかな色をしている。そして笑っている。
公園には誰もいなくて、まだ堅いつぼみの桜の木が、地面に影を落とし
ている。そしてその格子の中に、春を閉じこめようとしている。
マンションの階段を上りながら、遠く背振山が輝いている。その姿は
”また暖かくなったら登っておいで”と誘っているようだ。
部屋に帰ると、日だまりの中で小さな家族達がまどろんでいる。
きっと春の夢でも見ているのだろう。その姿は、見ているこちらが
幸せに感じるくらい、あどけなく優しい。
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